幼児期の口腔外傷について

お昼のミーティング

 今回は“幼児期の口腔外傷について”調べました。


<幼児期の口腔外傷の現状>
 
好発部位:上顎乳中切歯が多い
受傷年齢:1?3歳でピークを示し、男児が多い
受傷原因:転倒、転落、衝突の順に多い
受傷様式:振とう、脱臼がもっとも多い
 
<対応>
 
各種診査、検査(問診、視診、触診、打診、X線写真)を行い、得られた情報をもとに現在の状態を把握します。 
受傷時間、受傷場所、受傷状況、来院までの処置、他の部位の受傷の有無については対応や処置を選択する上で重要な情報となりますので、細かい情報も私たちスタッフや先生にお伝え下さい。
 
<各受傷様式と処置の実際>
 
☆脱臼 
動揺が軽度の場所は咬合調整を行います。
著しい動揺は暫間固定を行なって安静をはかります。
歯の転位を伴う場合は歯の位置を元に戻してから整復固定を行います。
歯軸方向の歯槽骨内への転位である陥入の場所は再萌出を待ちます。歯軸のズレが大きい場合は整復固定を10?14日間行います。動揺に伴う損傷した歯根膜への感染は予後に影響を与えるため、抗菌薬を投与します。
脱臼により歯冠の変色を認める場所がありますが、徐々に色は元に戻ることが多いです。
 
☆破折
象牙質に及ぶ歯冠破折では歯冠修復が必要です。
歯髄が露出してしまった場合は、できる限り歯髄を残す方法もありますが、受傷状況により歯髄を取ってしまうこともあります。
 
歯根破折ではX線写真で状態を把握し、破折部の隙間を小さくした状態で暫間固定を2ヶ月間行います。その後経過観察を行います。
歯根破折部が歯根吸収により一般的な生え変わり時期と同様な状態となるので、その推移をX線写真で経過観察していきます。
 
☆脱落
乳歯の脱落は基本的に再植は行ないません。後継永久歯歯胚への影響を考慮しての対応です。
乳歯脱落では、可撤保隙装置(乳歯入れ歯)が応用されます。
 
☆骨折
骨折部位とその程度をX線写真やCTなどを用いて把握しますが、基本的には口腔外科もしくは整形外科に紹介させていただきます。

☆軟組織損傷
最初に創部の洗浄、消毒、止血を行います。
止血状態の維持が困難な場所は縫合を行います。軟膏、抗菌薬、鎮痛薬を投与します。
軟組織損傷は出血量も多く、予想以上の腫脹になることが多いです。
また、軟組織損傷と歯の外傷を合併していることが多いため、他の部位の受傷状況を確認します。
 
幼児は発育過程において、外傷状態を詳細に適切に表現することが困難なため、保護者の方や幼稚園、保育園の先生などから十分に情報を得る必要があります。
受傷状況により対応や処置も違います。少しでも幼児と保護者の方の不安な気持ちが和らぐように、処置内容や予後についてもご説明させて頂きます。
当院では、処置が難しいと判断した場合、詳しい検査や治療ができる近くの小児歯科や病院などに紹介させて頂くこともあります。 
 

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                Nomura

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