免疫と歯科の関係

お昼のミーティング

今回は免疫について勉強しました。

今、世界で流行している新型コロナウイルス、さらに歯周炎や、う蝕、歯髄炎のような口腔の疾患も、感染症であるかぎり、その発症のプロセスには免疫が必ずかかわっています。

免疫とは、体内に入ってきた病原体を追い出すためのしくみです。
私たちの身体のなかでは、免疫にかかわる多くの細胞たちが協力しながら病原体を追い出しています。

鼻水や咳、汗、涙などにより病原体を洗い流したり、殺菌、抗菌物質を分泌して身体を守るしくみを自然免疫といいます。

しかし、病原体のなかにはこのような防御に打ち勝って体内に入り込むものもでてきます。病原体が体内に入ってきた時には、抗体を産生して攻撃します。これを獲得免疫といいます。

TVや雑誌などで、免疫力を高めて病気にかからない強い身体をつくるといったテーマでさまざまな情報が提供されていますが、実際にできるのでしょうか。

たしかに体内に免疫機構がなければ病原体を攻撃することはできませんから、免疫機構がある方が病気にかかりにくいことは明らかです。しかし、体内に侵入しようとする全ての病原体を侵入前に排除することは不可能です。

つまり、病気とは免疫にかかわる細胞や物質による個々の反応の過程や結果であり、免疫力が高ければ病気にかからない、○○を食べれば免疫力アップして病気を防げるといった単純なしくみではないのです。

しかし、免疫は身体の機能の一部ですから、ストレスを減らす、十分な栄養と休養をとる、規則正しい生活をするといった心身の健康を維持すること自体が、その人のもつ免疫機構を最大限に機能させることにつながるといえるでしょう。

次に、免疫と歯科の関係です。

体内に入ってきた病原体を食べた細胞が、サイトカインという物質を使って免疫にかかわる細胞たちを呼び寄せ、病原体を排除する働きが始まります。
しかし、このサイトカインという物質によって歯肉の発赤、腫脹をはじめとする炎症が起こることから、炎症性サイトカインともよばれます
さらにサイトカインは、破骨細胞の前駆細胞を破骨細胞へと分化させる作用をもちます。こうして生まれた破骨細胞は骨吸収を促します。

 

つまり、身体を守るために起こる免疫の作用によって使われるサイトカインが、逆に歯肉に炎症を起こさせたり、歯を支える骨を吸収するという働きまで起こしてしまうのです。

今回の勉強会で、身体を守る免疫という作用が、口腔内にとって、良くも悪くも働くという事を知りました。

                   

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       Miura 

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